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【25.06.30】名張市立病院設置条例の廃止が議決されました

名張市議会6月定例会、賛成14,反対3

市立病院の独立行政法人化は、市民や市立病院で働く全職員の納得もないままに10月設立にむけて進められています。この間、市立病院は看護師の離職に歯止めがかからず、外来、入院とも患者数が減り経営は悪化しています。そのため、法人化後の令和7年10月から11年までの間に資金不足が見込まれると市立病院から試算が出されました。
独立行政法人化の認可条件として安定した運営基盤が必要ですが、市立病院は資金不足で独法化の認可条件を満たしていません。それで独法化をすすめるがために、一般会計から7億6900万円と病院事業債(赤字債)5億円を借りて合わせて12億7千万円の追加繰入をしなければならない事態に至っています。

そもそも市立病院の経営形態の見直しは民間の経営手法で経営改善をし、一般会計からの繰入金を減らしていくことから始まりましたが、現状は全くその逆になっています。そして、病院の黒字化を目指す、病院強化プランの下方修正もされました。このように目的が果たせない、無理な独法化については一旦立ち止まり、現状の直営で堅実な病院経営で市民への医療提供を守るべきです。

そして、厳しい財政状況の中、「今は市立病院への支援を優先する」として令和9年実施予定の中学校給食の開始を延期すると市長から報告がありました。新聞や報道で知った市民から落胆と怒りの声が上がっています。中学校給食実施を取りやめることは市政への失望を生じさせており、市立病院か中学校給食かの分断が起き、市立病院への理解と協力も遠のきます。


なぜ市立病院の経営が悪化したのでしょうか

令和5年名張市立病院には現金預金が7億円ありました。それが令和6年度当初予算時1600万円まで減っています。国からのコロナ補助金が終わった事と、看護師の疲弊で病休者や退職者があり経営が悪化しました。このような状況の下で直ちに看護師の働く環境改善策が必要であったにもかかわらず、その対策を後回しにして、令和6年1月に市長が市立病院の独立行政法人化の方針を公表し、その結果、看護師の大量退職が続き3階の病棟閉鎖による病院事業を縮小するまでになりました。その時「独法化し働きやすい環境にして看護師を増やし、経営改善をすすめる」というばかりで、「今の私たちの厳しい現状を分かって欲しい」という現場の切実な声に応えていません。

独法化された病院で聞くのは、「収入を増やすことばかりでウンザリする」そして「良心的な医療ができない」ということです。現状の労働環境の悪化とそれに対する切実な声を聞かないという姿勢は経営を主眼にしたもので、さらに経営強化を進める法人化で、病院職員特に看護師の状態が改善されるとは到底思えません。

市民にとって大事な市立病院設置条例が廃止、医療職員定数も削除

名張市立病院の設置条例が廃止され、法人化により市立病院の職員は非公務員となるため、職員定数条例から病院の職員定数276人が削除され給料表も削除されます。これらの条例廃止や条例からの削除は、第1に住民にとってでありますが、病院の職員が公務員の仕事の公共の福祉の増進と住民を守る使命が無くなります。全国で医療従事者が不足する中で、現在市立病院で従事している正規職員239人、会計年度職員92人の住民の医療と福祉を守る職員を失うことは市民にとって大事な財産を無くすことになります。第2に病院職員にとっては、生命と健康を守るという職業倫理の一つの重大な拠り所となっていた公務員という身分を失うことになります。

独立行政法人の職員は民間の労働組合法が適用され、団結権、団交権、争議権などの労働基準法が適用されますが、国立病院や他の独法化の病院で起こっていることは、人事院勧告準拠と言いながら、収支の悪化で給料が上がっていないのが現状です。


市民の要求からできた市立病院は市民の財産

名張市立病院は、事故や急病の時「助かる命も救えない」と総合計画市民アンケートで病院建設の要望が1位となり、行政、議会、医師会等が一体となって国・県に働きかけ、開設まで18年間を要し1997年4月に開設されました。200床の救急病院は経営の採算が取れないという課題もあり、公営にするか民営にするかの議論があり、市民の医療と健康増進を図る目的から公立病院となりました。その後の2000年には名張市は人口が、8万3千人に達し全国で人口増加率1位の自治体となりました。そうやって出来た市立病院は、医師不足で大変な時も乗り越えて、二次救急や小児救急を守り、地域医療支援病院、災害拠点病院の指定を受け、公立病院として大きな役割を果たしています。

公立病院の維持と充実は、居住する地域の経済状況による医療格差を是正し、健康な生活のために医療を保障することになります。地域の中核病院である名張市立病院は、住民が安心して住み続けられるか、このまちが持続可能で在り続けるか、まちづくりに不可欠なものです。そして、公共サービスは、主権者である住民の意思を反映させなければなりません。市民から、「市立病院の看護師さんは本当によくしてくれた」「市立病院の先生が市民センターの健康講座に来てくれて良かった」と感謝され、また、「市立病院はもうちょっと良く診て欲しい」と住民からの要望を受け取り、経営状況も議会で公開し議論していくことが大事です。独立行政法人化になれば、病院の職員は議会に出席しません。毎年の予算・決算も議会の場で議論されません。

市民からの「歳をとっていくと色々と病気が出てくるので、もっと身近な市民病院であって欲しい」また、未来を担う大事なこどもたちを安心して産み育てられるように「市内で出産ができるようにして欲しい」という願いに応える努力をしていくことが大切です。市民の信頼が得られなければ市立病院はよくならないです

「ある日突然病院が無くなる」

全国のどの病院でも、物価高騰、人件費高騰、診療報酬の改定等で深刻な経営難です。こんな時に独立した経営を推し進めればどうなるでしょうか。市民のみなさん、今議会で市立病院廃止条例が可決となっても、施行日は独立行政法人設立日です。それまでは廃止されません。まだ、独法化を延期にして市立病院を一緒に立て直すことは可能です。

市民の財産である名張市立病院の独立行政法人化は一旦立ち止まり、市民の大事な医療を公として責任を持ち市民と共に守っていくように市長に働きかけていきましょう。


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