<< 活動日誌の目次に戻る|印刷用画面 >>
【24.04.08】名張市立病院の独立行政法人化はまだ決定していません
地方独立行政法人名張市立病院の定款に救急が入っていない!!
定款とは法人の目的、名称、組織、業務など基本的な要件を定める根本規則です。
提案された定款の第1章(総則の)目的、「地域住民に良質かつ安全な医療を提供するとともに、地域の医療機関及び名張市と連携して、地域住民の健康の維持及び増進に寄与することを目的とする。」としています。
市が参考にしている桑名総合医療センターの定款の目的には「救急医療及び高度医療をはじめとした安全で良質な医療を提供するとともに・・・・」
名張市の定款は「救急医療及び高度医療をはじめ」がありません。
市民の心配は、「救急や小児救急、高度医療が守られるのか」ということです。
名張市立病院はかつて救急を受け入れる病院が完全でなかった名張市で、「助かる命も救えない」と市民の切実な要求からできた病院です。
200床の救急病院はなかなか採算がとれないと言われる中でも経営努力を重ね、なにより大事な市民の命を地域医療機関と協力しながら守ってきました。経営の負担となっていた、建設費約154億円の借金も令和8年で完済します。
高齢化が進む中で、近くに救急病院があること、子育てをする中で市立病院に小児救急があること、住み続けられるまちとしてとても重要なことです。
市長の答え)救急は守る。中期目標に盛り込む。
三原)中期目標は4年間で改定されます。その先がどうなるか分かりません。
定款第2章 組織 (役員の定数、)任期等役員に関する事項、
役員の解任について入っていません。
地方独立行政法人法第17条で、設立団体の長又は理事長は、それぞれの任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当するとき、又はその他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
(1)心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。
(2)職務上の義務違反があるとき。
前項に規定のほか、職務の遂行が適当でないため法人の業務の実績が悪化した場合であって、その役員に引き続き当該職務を行わせることが適当でないと認めるときは、その役員を解任することができる。
これに係る条文が入っていません。
市民に情報が届かない。評価委員会の報告だけ
これまで市立病院の運営や経営、予算・決算は、市立病院事業会計として、年間を通じて定例議会に図られ、その内容について市立病院側が議会の中で説明し承認してきました。それが独立行政法人になれば、議会に諮られるのは中期目標の認定と、法人への財源交付の議決だけとなります。
独立行政法人大津市民病院評価委員会の報告と議事録が公開されています。
その中で、経営を改善するために病床数を減らし適正化する必要があることや、医師の大量退職のことなどが話し合われていました。
一方、議会の議事録を見ると、議員が医師の大量退職により、手術や救急受け入れ停止に陥る重大事態が起きたことを質問しても、「わかりません。法人の報告を待つ。」としか答えられていません。議会の関与が後退し、市民が知らないうちに市立病院の在り方の議論が進む可能性があります。
大事な救急、小児救急をはっきりと書かない、そして、役員の解任規定も盛り込まない、市の市立病院への姿勢が見えます。
「独立行政法人化さえすれば、市立病院が良くなるというものではありません」
市立病院経営改革特別委員会で視察した芦屋市立病院は、経営改善のために独立行政法人をめざしましたが、議会が「議会の関与が後退する」と定款の制定を否決し、公営企業法全部適用で経営管理者を置き、みごとに病院改革を果たし、市民が誇れる病院になっています。
職員は、法人設立時、別に辞令を出されない限り法人の職員になり、自動的に非公務員になります。「地方公営企業労働関係調整法」が適用され、「当該独立行政法人の業務実績及び中期計画の人件費の見積もり」を考慮して決め、「目標による管理と適正な業務評価、業績主義に基づく人事管理」人事評価で給与が決められていきます。
看護師、薬剤師、医療技師の不足が深刻な中で、今後も退職が続くことが危惧されます。
すでに独法化前の今年度の看護師の退職者は20人、昨年度は21人と看護師の離職が進んでいます。看護師不足により救急の受け入れの制限をせざるをおえない事態です。職員へ説明不十分なまま独法化を進めては、職員の人権が守られません。
市区町村立の病院は全国654病院で、うち独立行政法人化した病院は令和4年5月1日現在で31の病院だけです。唯一同規模(200床規模)の筑後市立病院では、勤務実態のない院長に1千万円の報酬が支払われるなど不正が起きています。
公立病院の民営化や独立行政法人化と統廃合を率先して進めた大阪府は、コロナウイルスでの死者数がワーストでした。この教訓は、医療は日頃から余裕が必要、経済性重視ばかりでは人命が守れないということです。
この先、南海トラフ地震がいつおきるか分からない現状で、名張市立病院が災害拠点病院として備えておくことは重要です。
2025年7月設立ありきで、拙速に独立行政法人化を進めるのではやめて、
市立病院の目的「市民に親しまれ、信頼される病院」を実現することを求めます。
<< 活動日誌の目次に戻る|印刷用画面 >>