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【23.10.11】芦屋市立病院視察報告

199床、公営企業法全部適用
事業管理者1名、病院長1名、
<診療科目>内科、血液内科、腫瘍内科、糖尿病・内分泌内科、循環器内科、呼吸器内科、緩和ケア内科、脳神経内科、リュウマチ内科、外科、呼吸器外科、消化器内科、乳腺外科、
校門外科、整形外科、産婦人科、小児科、眼科、耳鼻いんこう科、皮膚科、形成外科、放射線科、麻酔科、ペインクリニック内科、リハビリテーション科

<病院理念> あい(愛) しあわせ(幸福) やさしさ(優しさ)
<基本理念> 芦屋市の中核病院として地域社会に貢献します
       患者の意思を尊重し最善の医療と癒しを提供します

R3年度 入院患者数 55,674人、  外来患者数 74,442人

芦屋市立病院公開講座を市民センターで毎月開催、受講料200円
あしや健康フォーラム講演会開催 公会堂にて開催 入場無料

<人間ドック・検診> 2022年度1286件
循環器ドック(心臓の健康度を短時間で評価できる)
         運動負荷コース 18,700円
         冠動脈CTコース 46,200円
特定検診 668件、協会けんぽ 160件、他
日曜健康診断 市立病院外来棟3階 がん検診、生活習慣病検診ほか

<地域連携室> 体制 室長は病院長が兼務、入退院支援センター看護師2名
課長 看護師長、担当事務5名
看護師4名、MSW1名
(後方支援 入院患者の退院調整や外来医療相談等の兼務を担当)
逆紹介率R3年度80.6%、紹介率46.9%
紹介患者 R3年度6,525人(コロナウイルス感染症で減少、H30年度6,800人)
R4年度紹介患者受入れ状況、当日受診(紹介状を直接持参814件)13.7%、
予約受診(地域連携室を経由して予約4324件)72.3%、
救急受診(断らない救急799件)13.5%


<緩和ケア病棟>R3年度紹介件数 417件(うち芦屋市59件)
          新規入院患者数 288件(うち院内からの転棟102件)

<無料バス運行>市立芦谷病院から南芦屋浜病院間(一般病棟40床 24時間救急医療受付、地域包括ケア病棟43床、介護老人保健施設50床)所要時間30分

<経営の在り方の推移>
H15年、「今後の市立病院在り方検討委員会」設置
H16年、「経営戦略委員会」設置
H19年、「市立芦屋病院運営検討委員会」設置総務省経営アドバイザーによる経営診断
H20年、「地方独立行政法人(非公務員型)議会否決」「公立病院改革プラン」策定
H21年、公営企業法全部滝用「芦屋市立病院改革プラン」策定、建替
R元年、単年度黒字

<一般会計繰入金の推移>
H12年、870,418千円(最高額)
H20年、550,368千円
R元年、579,315千円
R2年、1,147,046千円
R4年、646,827千円

経営改善のために独立行政法人化の提案がされたが、市のコントロールを残すため議会が否決し、病院経営の自由度が増す全部適用を採用し、単年度黒字化を果たしている。
<経営改善のポイント>
*大学医局とのパイプで医師確保
診療科ごとに大学医局とつながり医師を確保。働く環境を整え、院内保育・病児保育あり。
休暇がとりやすく、無理なく働ける。他の病院とくらべても働きやすい環境。
*経営改善に向けて、達成可能な目標と計画策定
診療科ごとにヒヤリング。経営と医療の質を上げていく。
*職員の意識改革
どういうことを目指すか。何故目標達成が出来なかったか。目標数値のチェックと評価。
毎週の朝礼。火曜日に幹部のミーティングで経営状況の確認。
*市民の信頼獲得
新型コロナウイルス感染症患者の受入れは芦屋市立だけでクラスター発生無しは信頼につながった。不採算部門である小児救急医療も行っている。健康講座や検診の実施で市民の健康増進と医療に大きく貢献する。
*市立病院の特性を持つ
建設当初は272床を199床に減らし、選定療養費なく外来を受け入れる。他にも救急受け入れ病院があるが公立病院は当院だけ。急性期は残しながらも検診や人間ドックを行い、病気の早期発見から治療につなげている。人間ドックは受信者との信頼関係を築く。がんなど早期発見で治療につなげ、「良かった」と患者の口コミが広がっていく。
*緩和ケア
専門性を持つその一つに緩和ケア病棟を設置。24床、医師4人。高齢人口が30%になる中で求められる。



芦屋市立病院、坂出市立病院ともに、経営難から経営改善を達成している。経営改善は果たした両院に共通するものは、病院の理念と目指す病院の姿を明確にし、医師、看護師等病院職員が一丸となって取り組んでいること。目標設定は医師、看護師等病院職員とともに設定し達成にむけて引き続き話し合っていること。職員の意識改革は必須だが、それは力での押しつけではなく、職員自らのものになる努力がされている。事業管理者、病院長のリーダーシップは必要不可欠。病院のデパート型ではなく、公立病院としての特色を持つ。救急だけでなく外来も受け入れ、予定入院や手術で病床稼働率を上げ経営を改善している。なにより、
患者からの信頼を得る診療を行い、市内外から患者を得ている。

名張市立病院在り方検討委員会で、三重大学と連携を強化し、市外に流出しているがん患者を名張市立病院で診れるようにとのことで独立行政法人化が提案された。
がん診療は、これからさらに進む高齢化の中で地域に求められることだが、同時に市内で唯一の公立病院として二次救急や感染症の受け入れ、小児救急や産婦人科も求もられている。名張市立病院の特性や目指す病院を明確にするために、伊賀管内の救急の3輪番性の在り方、増新築した民間病院や上野市立病院とのすみ分けなど検討が必要だ。
「経営形態を変えるだけで問題は解決しない」ことを視察した両院で学んだ。名張市立病院の課題を掘り下げ、どのような病院を目指すのか、市民と病院職員と共に明確にしていくことが重要だと考える。


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