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【21.06.25】市民病院は市民の財産

新型コロナウイルス感染拡大では、重症・重篤患者の命を救うICU(集中治療室)などの「高度急性期」、肺炎などの中等症を受けとめる「急性期」の機能を持つ、公立・公的病院が重要な役割を果たしています。
医療現場は崩壊の危機が起き、「命の選別を迫られ救える命も救えない」との声があがっています。また、病床の逼迫で受け入れできる医療機関がなく「自宅待機」とされたコロナ患者が重症化し死亡する事例も起きています。この間続けられてきた医療費削減を目的とした病床削減により、地域医療の脆弱さを明らかになりました。
このような事態であるのに、自民・公明政権は、「病床削減推進法」を国会で可決し、病床削減や病院統廃合を推し進めようとしています。「病床削減推進法」は、消費税を財源に病床削減への補助を法定化するもので、また、医師の時間外労働を「過労死ライン」の2倍にあたる年間1860時間まで容認するものです。
これまでにも都道府県に「地域医療構想」を策定させ、高齢化がピークを迎える2025年までに「高度急性期」「急性期」の病床を約20万床削減する方針があります。三重県では、「高度急性期」の必要病床数を1,542床(2016年許可病床1,782床)、「急性期」の必要病床数4,524床(2016年8,685床)とし、一方「回復期」の必要病床は4,582床(2016年1,417床)、「慢性期」は3,499床(2016年4,346床)で、救急機能を回復期機能へと転換することを推進しています。

命と医療の砦を守る市民の声と行動を広げよう

名張市は(人口77,152人)、市内で唯一、二次救急と救急医療に重点を置いた地域医療をを担う総合病院として名張市立病院(200床)を運営しています。市立病院は、かつて救急を受け入れる病院が無い中、市民の強い要望で1997年に建設され、市民の命と医療の砦として公立病院の役割を果たしています。新型コロナウイルス感染症への対応も行っています。
しかしながら、その経営は厳しく医業収支がとれず赤字経営が続いることから、経営改革を迫られています。不採算部門を担う公立病院であるため、一般会計からの繰り出しが行われていますが、自治体本体の財政状況も厳しく、市立病院の赤字補填が財政を圧迫するという現状です。
「病床削減推進法」が可決となり、名張市が病床削減や統廃合、民間委託等を導入するのではないかと懸念しています。これまでにも、名張市立病院と同時に開設した介護老人保健施設「ゆりの里」が、年間5千万円の赤字を理由に、2020年突然に廃止されました。入所者は突然の廃止に次の入所先を探しましたが、新しい入所先が決まらず、やむ負えず自宅療養となった人もいます。働いていた職員は、民間の介護施設等に替りバラバラになりました。

国は社会保障の解体と医療費削減を推し進め、地方自治体は住民の声に背を向け、財政難を理由に市民サービスを削り、自己責任と自己負担を押し付けています。このままでは、必要な医療が受けられず、人としての尊厳を持った暮らしもままならない事態になりかねません。市立病院は市民の財産です。昨年廃止された介護施設「ゆりの里」のように、市長のトップダウンにより、機能転換や経営形態の変更がされないように、地域医療を守る共同の運動を市民の中で大きく広げ、安心して暮らせる名張市をめざしていきます。

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