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【17.08.29】「市立小中学校の規模・配置の適正化後期実施計画」市教委が見直し案を発表

住民の声が、統廃合を止めた

 昨年の2月に発表された、「名張市小中学校の規模・配置の適正化後期実施計画」は、どの地域の説明会でも反対の意見が多数で、統廃合に該当する地域や保護者から、学校存続を求める要望書や意見書が提出されていました。
後期実施計画では、「1学年1クラスを統廃合する」というものでしたが、地域住民や保護者から「1クラスでも学校運営や教育に満足しており、統合の必要性はない」と言う声が多数でした。また、児童・生徒数の減少が緩やかで、宅地の新規造成などにより、人数増が見込まれる地域もあるため、教育委員会は計画の見直しが必要と判断しました。


<8月18日の全員協議会に示された、見直し案>

後期実施計画期間は、平成28年度〜32年度
固守することなく、関係する保護者や地域住民と丁寧に協議を進め計画を推進する。

対象とする学校・地域は、薦原・箕曲・すずらん・桔梗東・桔梗南・桔梗
規模の適正化、1クラスの児童数が20人を下回り、その状況が続くと見込まれる小学校

@規模の適正化
薦原小学校 H29年度102人6クラス 
統合先の学校及び時期については、保護者や地域住民等と十分協議の上、決定する

箕曲小学校 H29年度104人6クラス
校区内の数か所で住宅地造成・分譲が進行中であり、児童数の増加が見込まれるため、今後2年程度の児童数の推移を見て検討する。

桔梗が丘東小学校 H29年度162人6クラス
1クラス20人〜30人が続くと見込まれるので、当面は単独校とし、児童数の推移を見て改めて検討する。

すずらん台小学校 H29年度190人6クラス
1クラス20人〜30人が続くと見込まれ、適正配置の観点から当面は単独校とし、児童数の推移を見て改めて検討する。


A配置の適正化
県立名張桔梗丘高等学校の校舎を利活用して施設一体型の小中一貫校「(仮称)桔梗学園」の設置を目指します。その第1段階として、桔梗が丘地域の3つの小学校の卒業生が通う中学校を、平成30年に閉校する県立桔梗丘高等学校の校舎を利活用し、平成32年4月を目途に設置する。第2段階として、3小学校の児童数の推移を見ながら、施設一体型の小中一貫校の設置を目指す。

B校区の再編
実施にあたっては、過去の経緯も踏まえつつ保護者・地域住民と十分協議の上、進めます。
ア、鴻之台1番町は、中央ゆめづくり協議会の区域であることから、蔵持小学校から名張小学校に校区を変更する。
イ、桔梗が丘南小学校に通学している蔵持町原出の一部は、蔵持まちづくり委員会の区域であることから、蔵持小学校に校区を変更する。
ウ、美旗町池の台東及び池の台西は、地縁法人美旗まちづくり協議会の区域であることから、桔梗が丘東小学校から美旗小学校に校区を変更する。
エ、桔梗が丘中学校と北中学校の区再編により、蔵持小学校は桔梗が丘中学校から北中学校に校区を変更する。

*上記@からBの実施にあたっては、児童・生徒や保護者の安全・安心や負担軽減に最大限配慮し、経過措置の導入も検討する。




<規模の適正化については>

教育委員会は、「1学年2クラス以上が適正規模」という基本方針を、今回の見直しで1クラスでも教育上問題ないとし、「20人を下回れば統廃合」としています。
H22年策定の「名張市小中学校の規模・配置の適正化基本方針」(P2)に1学級あたりの児童・生徒数が示されています。それは、名張市内の小学校の1クラスの生徒数の平均(最も割合の高い人数区分)が20人〜30人というもので、教育的根拠はありません。少人数教育が、きめ細やかな指導ができることは、保護者も教員も認識するもので、求められています。教員が児童一人ひとりとしっかりと向き合える人数、また、学級運営をしていくうえで子ども達にとって最も良い環境を、改めて考えていく必要があるのではないでしょうか。

<配置の適正化については>

後期実施計画で突然、組み込まれた4・5制の「桔梗学園」の設置は無くなりなしたが、将来的に施設一体型の小中一貫校を目指すとしています。
他市で、施設一体型の小中一貫校の問題が起きています。小学校と中学校が連携して義務教育の充実を図ることは、否定するものではありませんが、一体型が子ども達にとって本当に良い環境になるのか、名張市に取り入れるべきかの研究と議論が必要ではないでしょうか。統廃合と小中一貫教育は切り離すべきです。また、桔梗丘高校跡地利用にあたり、発生する改修にかかる財源と学校規模が大きくなることの維持管理費の財源は、一切示されていません。

<校区再編について>

校区と地域まちづくりの範囲の不一致を解消するとして、児童・生徒の安全な通学より、地域まちづくりの範囲で通学を決めるというものです。
目の前に桔梗南小学校があるのに、住所が蔵持原出なので、交通量の多い国道を渡り、蔵持小学校に通学。鴻之台1番町の児童も、現在通っている蔵持小学校から名張小学校へ変更。美旗池の台の児童は、市が安全な通学路整備し近くの桔梗東小学校に通っていますが、住所が美旗なので遠い美旗小学校に変更というもので、子どもの生活圏より、名張市が区切った地域まちづくりの範囲が優先されており、子どもにとって不利益が明らかですが、見直しがされず当初の後期実施計画のままです。校区再編によって、1クラス20人という基準にも係わってきます。



根本的な事は何も変わっていません・・・18日以降の住民の声

「20人という人数で統廃合を決めるのではなく、これまで、学校と地域とで築いてきた教育の中身を見て欲しい。」
「地域ビジョンに含まれる、小学校を拠点とした地域づくりをどう考えているのか。」
「市は、2年間様子を見ただけでは、20人を下回るのは目に見えている。名張市は、人口減少対策を講じるべきだ。」
「子どもの通学の安全を第1に考えて欲しいことを訴えていたが、危険な通学路への変更が残っている。」
「小中一貫教育は、市内どの地域でも同じ内容にするべき。」
「桔梗丘高校の校舎を利用するのであれば、改修費用の財源とこれまでよりも大きくなる学校の維持管理費の財源があるのか。明確に示して欲しい。」

 後期実施計画の一部を変更し、小学校の統廃合を先送りしただけで、根本的な問題は解決していません。引き続き、子どもの立場に立った名張市の教育の在り方とまちづくりの未来を共に考えていきましょう。


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