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【16.04.27】小中一貫校と統廃合、校区再編

教育委員会の実施計画に道理なし

2015年6月17日参議院本会議で「小中一貫教育」の制度化などを内容とする学校教育法の「改正」が可決、成立しました。学校教育法第1条に新たに9年制の義務教育学校が加えられ、学校設置者の判断で設置可能となります。実施されれば、小学校段階から学校制度が複線化します。国会の審議で「小中一貫教育」の制度化の問題点が明らかになっています。

規制緩和によって小学校段階から複線化し、5・4制や4・3・2制など学校段階の区切りを設置者の判断で行えます。これは子ども達が小学校入学時から制度の異なる学校で学ぶことになります。教育の機会均等の原則に反するものです。学校選択制と結び付けば学校間の競争をあおるものとなります。また、国が教育権を保障するものとしての義務教育から自己責任の教育へと変わってしまいかねます。

「小中一貫教育」の制度化を学校統廃合の促進や教職員の削減、施設・整備費の削減の手段にしようとしています。中学校1校に対して、校区の小学校は複数あります。一環校にすることで複数の学校を統廃合することになります。文科省は住民や保護者の理解を得てとしていますが、京都などではPTAの意見もまともに聞かず進めていることがおきているそうです。

名張市でも実施計画の策定にあたっては、PTAとの相談は一切なしで、教育委員会の住民と保護者説明会では、規模適正化基本計画そったものとして「計画は変えられない」と言っています。H22年に策定された規模適正化基本計画はあくまで基本方針で、実施計画の策定は住民合意がなければすすめることはできません。実施計画では、4・5年制度への変更と通学の安全性の不安や学校が遠くなるなど、子どもにとっての不利益が明らかです。保護者の願いは、安全で一人ひとりを大切にする教育をする学校です。それを実現するためには、地元地域での少人数学級ではないでしょうか。

総務省の公共施設管理計画の策定の要請や文科省の統廃合の手引きなどと一体に「小中一貫教育」の制度化を口実に学校統廃合が一気に推し進められようとしています。すでに改正(改悪)された地方教育行政のもとで、首長の政治介入によって義務教育学校の設置がされ、子どもたちの成長・発達ではなく、政治家や行政の思惑によって進められかねます。

子どもたちや学校の実態から小中一貫教育を導きだしたのではなく、まずは制度化ありきですすめられています。「学力の向上」についても通常の小・中学校と小中一貫校との比較はないことを文科省が認めています。国立教育政策研究所の資料でも、中1ギャップそのものが不明確で、小中一貫教育の成果も示されていません。義務教育学校の設置基準を設けない予定であることなど、設置にあたっての整備についても制度的な担保がないことも明らかです。「エリート校化、格差や序列化が進む」「教職員の多忙化」「最高学年の経験ができない」「中学校の抑圧、競争が小学校まで広がり、かえって問題が深刻になる」参議院での参考人3人のうち2人が否定的意見でした。小中一貫教育は戦後、憲法のもとで全ての子どもたちに権利として、教育を保障する制度として確立された学校制度を変え、教育の機会均等の原則を壊し、学校統廃合を進めるものとして問題です。

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