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【15.12.27】マイナンバーは市民にどんなメリットがあるのか

行政手続きはこれまで通り変わりなし

議案第81号名張市行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の制定について
議案第85号名張市印鑑条例の一部を改正する条例の制定について反対の立場で討論します。

特定の個人を識別するための番号マイマンバー制度は、国民一人ひとりに番号を付番し、様々な機関や事業所等などに散在する個人情報を名寄せし、参照することを可能とすることで、行政などがそれらの個人情報を活用する制度です。社会保障分野(年金、雇用保険、生活保護、障害、児童扶養手当など)を中心に自治体など公的機関が保有する、個人情報を情報連携システムで結ぶことで、行政の効率性を高めるとしています。

事業者が税務署に提出する源泉徴収票などの法定調書にも個人番号を記載することが求められ、徴税当局は給料や報酬を個人番号によって安易に名寄せを行うことが可能となり、国民一人ひとりの収入の把握をすすめるとしています。
今は社会保障、税、災害の3分野となっていますが、銀行口座や特定健診の結果など利用範囲の拡大が考えられています。

マイマンバーに一人ひとりの情報を結びつけて活用することは、それを使う側にとれば、きわめて効率的であります。しかし、ひとたび情報が流出すれば、国民一人ひとりのプライバシー侵害やなりすましなどの危険性をはらんでいます。この間、年金情報、国会議員のID,闇サイトではクレジット番号と名前などが流出しています。ネット上に流出したデーターは、消去できません。
情報漏えいを防ぐ完全なシステムの構築は不可能で、マイナンバーのセキュリティは大丈夫というのは安全神話ではないでしょうか?

すでに通知カードが市民のみなさんに送付されています。その番号の重要性がどれだけ伝わっているでしょうか。雇用者は会社から扶養家族の番号を知らせるように求められています。事業者は正社員のみならず、契約社員やアルバイト、派遣社員の個人番号の厳重な管理が求められます。個人も企業も番号の管理という負担が増えます。

市民生活でのメリットは行政手続きが簡素化される。と言われていますが、これまでも、行政内・間で情報の照合や照会はできましたし、申請の際に個人番号は必須ではなく、市民からすれば特段変わるものではありません。また、申請時に個人番号を利用すれば中間サーバーを介すため、そこに侵入され漏えいの危険性があることも指摘されています。また個人のパソコンでマイナンバーにもとづく情報を見ることができるマイナポータルで、個人カードとパスワードさえあれば個人情報が一覧できます。ひとたび情報を盗み売る人の手に渡ってしまったらどうなるでしょうか。

プライバシー権や肖像権は憲法13条の幸福追求権を根拠に確立された権利です。市民の同意なく公権力が個人情報を収集することは、憲法違反が問われます。
マイナンバー制度は住基ネットと違って、法定受託義務で市長が市民に付番し、様々な個人情報を集積するものです。生まれた時に生涯普遍の番号が付けられ、そこに次々と情報が入れられ、行政や公的機関が本人の承諾がなくても、照合や照会されることにプライバシー権侵害の可能性が高まります。

今回の条例は来年の1月実施を前に81号でマイナンバーを利用するにあたり市の責務と利用・提供の範囲、書面提出の省略等を規定し、85号で個人番号カードの印鑑登録証としての利用が提案されていますが、情報の漏えいがあった時は一体誰が責任をとるのでしょうか?

莫大な費用と手間をかけて国民のプライバシーを危険にさらすマイナンバー制度は止めるように国に求め、現在あるシステムを活用しながら、税と社会保障分野での業務の効率化・適正化をはかり、住民の生活を守ることを求めて反対の討論とします。


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