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【15.12.27】誰もが必要な介護支援を受けられるように

12月議会一般質問

 要支援者へのサービスをどう守るか?
 人権保障としての支援を
国で「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」医療介護総合法が定められました。
医療・介護総合確保法に盛り込まれた病床機能報告制度は、「川上」の病床削減と平均在院日数の短縮による医療費抑制で、病床削減等により増大する退院患者の受け皿として想定されるのが「川下」に位置する「地域包括ケアシステム」その中心は介護保険サービスです。

介護保険制度は、
「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理、その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう必要な保険医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」ことで「国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ること」を目的としています。2005年の法改正で「尊厳の保持」が付け加えられました。

介護保険では予防給付の見直しがあります。

要支援者の保健給付が介護保険から外されます

要支援者(要支援1・2の認定を受けた人)への訪問介護(ホームヘルプサービス)と通所介護(デイサービス)を保険給付から外し、市町村事業である地域支援事業(総合事業)に段階的に移行することになっています。

要支援者の状況 (H27年12月現) 
要支援認定者900人、サービス利用者440人
 介護予防訪問介護 約90人
通所介護利用 約220人

第1段階、世帯全員が非課税世帯 約250人
第4、第5段階、世帯に市民税課税あり、本人市民税非課税 百数十人
その他の段階で 各数十人
第9,10、11段階 合計所得金額 290万円を超え 数十人


介護予防訪問介護 ホームヘルパーが利用者宅へ訪問し、掃除、食事の準備、
         調理等行う
介護予防通所介護 利用者が事業者へ出向き、生活機能の維持向上の体操、
         食時や入浴サービスを受ける
利用者本人の残存機能の衰えを防ぎ、閉じこもりや寝たきりの防止、自立し
た生活が送ることができるように。


総合事業が実施されたら

Q,要支援者はこれまで通りのサービスが受けられるのか?
A,これまでのサービスは現行相当サービスとして継続して利用できる。
 次回認定期間更新の際、緩和した基準によるサービスに移行していく。
 緩和した基準によるサービスは、これまで介護予防給付を提供してきた事業所が行う。同じ事業所利用の継続等も勘案しながら、利用者の希望に沿うよう進める。

Q,地域まちづくりの負担が増えるのか?
A,生活支援サロン活動等、担い手となる団体にも高齢者を支える仕組みや考え方に相違がある。基準の制定に調整を要する。すでに地域で活動しているいくつかの団体をモデルとしてH28年度早々に実施する予定。

住民の自主的な「助け合い」活動は、「公的費用」の削減を目的としたものではありません。生活と地域の必要性の中から住民自らの共同と連帯で作り出し、その費用も共同で作り出してきました。住民がつくりあげてきた助け会いとは「公的制度縮小の肩代わり」というものではありません。
現制度の制約で、現行ホームヘルプやデイサービスでは対応できないものがあります。介護保険外しの受け皿ではなく、地域の特性に合わせた、住民の主体的で、多様なニーズに応える柔軟な事業であることが求められるのではないでしょうか。要支援・要介護者、一般高齢者も利用できる事業へ公的支援(活動場所、経費)を求めます。

総合事業のケアマネジメント
Q,被保険者である利用者の希望が叶えられるのか?
A,生活機能の低下等への自覚を促し、介護予防に取り組む意欲を引き出せるような対応を行い、高齢者が安心して制度を利用できるように努める。
 
支援を受けたい時、国の指針では、窓口担当は専門職でなくてもいいとなっています。名張市では、まちの保健室に相談し、そこでチェックシートに従って進み、介護認定申請か総合事業かに振り分けられます。まちの保健室は、これまでの業務に加え総合事業の業務が増えます。有資格者を正規雇用して、住民の相談に的確に応えることを求めます。

総合事業の予算は
75歳以上の高齢者(後期高齢者)数の伸び率(年間3〜4%)におさえるとしています。現行の予防給付は自然増で年間5〜6%増、要支援者に対する事業費を抑制していくことを意味します。利用料は介護保険と同じ1割負担を下回らない範囲で市が決めます。

Q,低い単価設定は事業者の撤退が予想される。
 A,大幅な単価引き下げはしない。国に予算の上限設定を撤廃するように求めている。

今でも介護従事者不足で、これまでの給付より低い単価だと、働く人がいなくなります。小さな介護事業所ほど厳しく、閉鎖もおきてくるのではないでしょうか。名張の地元密着型での開業を維持できるように低廉な単価設定はしないことを求めます。
住民主体の支援も担い手が不足し機能がはたせず、結局は要支援者の必要な介護が保障されない事態になりかねません。

要支援者への予防給付は重度化を防ぎ日常生活を維持する効果をもっています。要支援者には認知症の高齢者も多くいます。適正な支援がなければ要支援者の重度化がすすみ、給付費が増えることもあり得ます。



社会保障は貧困を個人の責任とする考え方から、個人では解決しえない社会的要因によるものとし、社会の責任で貧困からの脱出・防止にとりくみ、生活権・生存権を国民に保障することを基本とし公助が進んできました。それを「自助・共助・公助」から「自助・互助」へと変え、国による国民への恩恵とする社会保障の以前の考え方に戻ってきているように感じます。
また、社会保障は市場に委ねてしまうと負担能力によってしかサービスがうけられず、必要な支援が必要な人に受けられなくなります。市場の限界をふまえ、市場をかいさない仕組みが整備されてきたにもかかわらず、再び市場へと戻そうとしています。
介護問題は家族の問題として考えず、社会の問題として社会的解決を図るという、介護保険創設の際にうたわれた基本理念ですが、介護が必要になっても制度の利用を認めない方向へと踏み出しています。

これまでの憲法解釈を内閣で変え、政権の現憲法にそぐわない姿勢は、安全保障関連法だけでなく、社会保障にも及んでいると思います。

政府は介護離職ゼロを言っていますが、
介護保険制度の限界を誰しも感じているのではないでしょうか?給付削減と利用者負担増で介護保険制度の維持を図っていますが、超高齢社会となり増え続ける介護ニーズには応えられないのではないでしょうか。現制度の維持ではなく、誰もがいずれ向かう老後の生活保障の仕組みを共に考えつくっていきましょう。

被保険者の権利である介護申請と利用を妨げない

「2025年問題」にどう対応するか?
急速な高齢化が進み、団塊の世代が75歳以上となって後期高齢者が多数となり、単身、老夫婦世帯が急増する。これをどうするか、高齢者の生活を守るには何が必要か、名張に住む高齢者の実態とニーズをつかみ、施策を立てることが重要です。名張市独自のものを。市長は「地域まちづくりをそのために作ってきた」などと言われた。しかし、地域まちづくり協議会は行政の下受けではありません。総合事業は実施主体は市です。「介護給付が増えて大変です。地域でお願いします。」なんてことにはならないように。現在、地域で行われている生活支援事業の充実はしても、要支援者のケアマネジメントから、当事者の心身共に健康維持と生活保障は市が責任を持って行うこと求めます。




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