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【13.04.12】3月議会・一般質問

生活保護の削減は生存権をおびやかす

 生活保護とは、憲法25条の生存権の理念に基づき、生活困窮者に対して、国・自治体が「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するものです。子どものいる保護受給家庭への支給額が、低所得世帯の支出を上回るということで、保護費の基準を下げることを厚労省で考えているようです。国内において子どもの7人に1人が貧困という中で、「低所得者層に保護基準を合わせる」この考え方は到底うけいれられません。子どもの貧困がさらに深刻になることが予想されます。

 生活保護の受給者が増えたというが、先進国の中で日本の生活保護受給者は低い数値となっています。(人口に対する保護者の割合はイギリスでは9.3%、ドイツは9.7%、フランスでは5.7%、日本は1.6%)
 また、保護を受けるのも大変厳しい審査があります。例えば、持ち家や財産があると受けられない。しかし、この不況の中、不動産が動かないのでどうにもならない。車の使用の制限などもあり、本来保護に値する所得でも、申請と利用の厳しさで保護をうけずに、ぎりぎりの生活を余儀なくされているのが現状ではないでしょうか?また、家族のみならず、親族にまで援助の要請がされることは、当事者にとって大変つらいものです。2010年度の厚労省の調査では生活保護基準を下回る低所得層の中で受給しているのは3割ということがわかっています。
 
 保護受給者の内訳をみると、高齢者が44%、次に傷病者19%、障害者11%、母子7%、その他18%。そして、76%が単身者、16%が2人暮らし。(厚労省のデータ)保護費をみると、高齢者単身で7万円、夫婦とこども一人で15万円、母子では13万円、ぎりぎりの生活状況がうかがえるのではないでしょうか?
 受給者の中では、なるべくお金を使わないようにと、外出を避け、近所の付き合いもできないで閉じこもる傾向にあると聞いています。また、他市では行政へ相談に行ってもかなわず、家族で餓死などの痛ましい事態がおきています。
 生活保護受給権の周知と、相談者への親身な対応が必要です。

 

増々暮らしが大変になる

 生活保護の引き下げは受給者のみならず、低所得者への減免や補助へも影響します。例えば住民税の非課税措置、保育料、就学援助、国保減免、介護保険料や利用負担の軽減、障害者サービスの利用など、生活保護が基準となっています。(38項目あります)
就学援助がうけられなくなると、修学旅行や社会見学に行けない、成長に合わせた体操服や制服も用意できなくなる。「子どもにつらい思いをさせてしまう」という声があがっています。
 最低賃金を決める際にも、基準額が配慮されており、賃金の引き上げにも悪影響がでます。生活保護の引き下げは、貧困をさらに生み出し必死に頑張っている世帯を直撃するものです。

雇用は正社員、賃金アップで生活の安定を

 大企業の内部留保は過去最高の260兆円に達している一方で、労働者の給料は減り続けています。年収は14年間で平均70万円下がっており、非正規雇用は労働者の3人に1人、年収200万円未満の労働者が1千人を超えています。収入が減ったうえ、社会保障の削減、自己責任論で将来への不安がつのり、増々消費が落ち込み不景気が続いています。仕事がない、低賃金、生活困窮と負のスパイラルが続き、このままでは無年金や低収入者が増えるばかりです。
 雇用は正社員が当たり前として賃金アップで、いきいきと働ける労働環境を整え、若者が将来への意欲や希望がもてように。日本共産党は大企業の内部留保1%の取り崩しで8割の企業の、労働者1人月1万円の給料があげられる試算を示し、大企業に対して賃金アップの要請をすることを安倍首相に求め、実際に要請がされました(2月12日)。引き続き、保護費の削減ではなく、賃金アップで生活が成り立つ政策への転換が必要ではないでしょうか?

<市長の答弁>
 名張市の生活保護受世帯は388世帯、増加傾向にある。雇用状況の悪化が原因で働ける年齢層の受給者が増える特徴がある。
今回の生活保護制度の見直しは、受給者だけでなく低所得者層をはじめとする生活困窮者を含めて総合的に支援を行うこととされている。市長会でも保護の引き下げだけでは承服できない、削減だけに終わらないよう自立にむけた取組みを求めている。
 親から子への貧困の連鎖を防止する。所得の格差が学力の格差にならないようにする。名張市で厚労省のモデル事業を予定している。


市は、貧困の原因と生活実態についてを問うても、いっこうに答えることなく、生活保護の削減を前提とした国の施策について語るばかりで、その方策についても、具体的なものは示されていません。引き続き、誰もが安心して、人としてあたりまえに暮らせるように求めていきます。


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