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【11.10.31】9月議会報告

国保会計・後期高齢者医療会計の認定について

平成22年度名張市国民健康保険特別会計歳入歳出決算の認定について及び
平成22年度名張市後期高齢者医療特別会計歳入歳出の決算の認定について反対の立場で討論します

「国民健康保険税が高すぎる」市民からの切実な訴えが寄せられています。
国保加入者は1万1千624世帯、2万1千160人で名張市人口の約24%、
その中で300万円未満の所得層が8割を超えています。
 保険税は、例えば40歳代の夫婦と未成年の子ども2人の4人家族、所得が200万円では年額34万5千円余でその負担は1割を超え2割近くになろうとしています。所得が100万円の年金生活のご夫婦でも13万円余と生活におおきな負担がかかっています。滞納世帯は2200世帯、資格証明書の発行は269世帯366人、短期証は850世帯1101人にも及びます。
 全国的にも国保税はこの20年間に1.6倍、一人当たり3万円も値上がりしています。これは、国の支援金が50%から24%に減らされてきたことが大きな要因です。あわせて、自営業者や農家の経営難とともに、非正規労働者や、失業者、年金生活者などの無職者が、国保加入者の7割をこえて、20年前は240万円だった国保加入者の平均所得が2009年では158万円まで落ち込んでいます。
 このままでは、高すぎる国保税で滞納が増え、国保会計は財政難でさらなる保険料の高騰、保険税が納められず資格証明書の発行となり、事実上の無保険で病院に行けない事態がひろがることが懸念されます。昨年の全日本民医連の調査では、無保険になったり資格証明書であるため窓口で全額負担など、生活の困窮で医療機関への受診が遅れ、死に至ったとみられる事例が71人と報告されました。
「低所得者が多く加入し、保険料に事業主負担もない国保は、適切な国庫負担がなければ成り立たない」これは、かつて政府も認めていた国保財政の原則です。国保加入者は平均所得が低いにもかかわらず、もっとも高い保険税をかせられているのが実態です。国保の国庫負担を元に戻すことを、国へ求めるとともに、名張市独自でも市民の医療を受ける権利を守るために、高すぎる国保税の引き下げが必要です。平成22年度国保特別会計では、実質収支額で3億4千万円余の黒字決算です。過去をさかのぼってみると、保険税が値上がりをした後のH18年からH20年までは、4億円余の黒字決算、そしてH21年・H22年は3億円余の黒字決算となり、国保基金も7億円余あります。
 憲法25条の生存権とともに、国民健康保険法第1条の国民の社会保障及び国民保険の向上を目的とするとうたわれています。所得に応じた保険税にあらため、市民の健康と権利を守れる、市民が安心できる制度への転換を求めます。

 次に後期高齢者医療特別会計について、2008年4月から施行された後期高齢者医療制度については、当初から問題点を明らかにし、撤回を求めてきました。
 この制度は75歳という年齢で、これまで加入していた家族の国保や健保から追い出し、年金天引きで高齢者ひとりひとりから保険料を徴収し、高齢者が利用した医療に合わせて保険料が上がるしくみで、保険料の負担増をがまんするか受ける医療を抑制するかの選択を高齢者にせまるものです。
 また、組合健保や協会健保(旧政管健保)が支出する後期高齢者支援金・前期高齢者納付金の増額で、保険料の大幅値上げや、健保組合の解散など現役世代にも大きな影響が出て、国民の大きな怒りの声がわきおこり、政権交代への引き金になったのではないでしょうか?ところが新政権は、後期高齢者医療制度の廃止をH26年3月に先送りしました。
 現在、後期高齢者医療制度は75歳以上の高齢者の医療を、都道府県広域連合で運営しています。これをまず、75歳以上の高齢者を広域国保での運営にし、いずれは拡大して国保そのものを広域で運営する方向性が示されています。「高齢者医療に対する国保財政負担の問題を解決するためには広域化が必要」「医療を一元化すれば差別はなくなり、国保の財政難も解決する」ということですが、はたしてそうでしょうか?
 どの自治体をみても、国保運営は厳しい状態です。特に加入者の多い自治体ほど苦しい運営がせまられています。これは先にも述べましたが、加入者の7割が無職または非正規雇用、これらを含む8割が300万円以下の所得層であり、ここに75歳以上の高齢者も加わり、スケールメリットが働くとは考えられません。また、広域になると、これまで各自治体で住民の状況にあわせた減免や、一般会計からの繰り入れなど独自の対応が出来なくなります。公的医療制度に対する国の責任を後退させたまま、保険者の合併。再編で痛みを分かち合っても、安心できる医療制度はできません。
 後期高齢者医療制度は廃止し、国保の広域化ではなく、元の老人医療制度に戻し、何歳になっても安心して医療が受けられる医療体制をつくることを求めます。

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