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【11.10.31】9月議会報告
請願の賛成討論
国民への負担増をあらたに強いる「社会保障・税一体改革成案」に反対し
社会保障の充実・改善を求める請願に対して賛成の立場で討論します。
政府・与党社会保障改革検討本部は、6月30日「社会保障・税一体改革成案」を正式決定しました。今後、成案を軸に法案策定がすすめられます。野田首相は、2010年代半ばまでに消費税を10%に引き上げる法案を、来年3月までに国会へ提出する考えを明言し、小宮山厚生労働相も「6月の成案をもとに、具体化をすすめる」と述べています。
社会保障とは、個人的リスクである、病気・けが・出産・障害・死亡・加齢・失業などの生活上の問題について、貧困者を救い、生活を安定させるために国家または社会が所得移転によって所得を保障し、医療や介護などの社会サービスを給付することです。
「社会保障・税の一体改革」成案では、「自助・共助・公助」が繰り返し使われています。現在社会において「自助・共助」が重要な役割を果すことは言うまでもありませんが、社会保障とはその後につくものではなく、「自助・共助」には限界があることを前提としたうえで、初めから国民生活を保障する基本として、位置づけられているものです。「公助」は国が助けるという恩恵ではなく、国が責任を持ち国民の権利として保障しているものです。現在の社会保障制度は何百年もの歳月をかけて人として生きる権利を守るために、築いて来た歴史の上にあるものですが「社会保障・税の一体改革」はこの歴史を顧みず、社会保障を根本から変質させ、縮小させるものではないでしょうか?
具体的にいいますと、「給付の重点化・制度の効率的運営」「重点化・効率化」ですが、これは、スクラップ&ビルドのうちのスクラップを指し、重点化とは「拡充」『発展』を意味するものではありません。そして「給付と負担のバランス」は、「給付に見合う負担」「負担に見合う給付」であり応益負担が原則となります。負担が出来ない人の保障は、おたがいの共助で補えというものではないでしょうか?これはすでに実施されている介護保険でわかるように(保険主義)であり、負担かサービスかの選択のしくみです。
一体改革の最優先施策「こども・子育て新システム」はこの介護保険がモデルです。医療では「受診時定額負担」の導入や、70歳から74歳の窓口負担の引き上げ。介護では要支援者など軽度を介護保険からはずし、介護保険料の負担年齢を39歳以下に。そして年金については、総務省のデータでは二人暮らし月平均21万円の年金生活者は、毎月5万800円の赤字、保険会社の調査で、65歳以、一人暮らしの女性高齢者は3割以上が年収100万円以下の貧困状態にあるにもかかわらず、支給開始年齢を68歳までさらに引き伸ばし、デフレ下でのマクロ経済スライドを打ち出しています。
生活保護に関しても、自立・支援メニューの強化でさらなる締め付けになりかねません。
これらの社会保障の削減と同時に、消費税の目的税化と税率の引き上げが示されています。社会保障給付の財源を消費税で全て賄うとしたら、消費税収の枠内での保障となります。そして消費税は逆進性の強い税制度で、全く収入がなく社会保障制度が必要な人にもかかってくる、生きることにかかってくる税で、社会保障の財源には一番ふさわしくない税であり、消費税だけで社会保障を賄っている国は存在しません。日本の貧困率は16%と1990年代から上昇し続けています。このような中で消費税をあげ、社会保障も自助・共助となったら一体どんな日本になるのでしょう?震災の被災者にも消費税は容赦なくかかってきます。
1997年、消費税が3%から5%に引き上げられた時、国民は9兆円の負担増となり、家計の所得は落ち込み、経済は低迷したままです。日本の財政は国債による借金の額だけで考えるのでなく、資産と負債の両面から見る必要があり、大資産家の所得税や大企業の法人税減税を止め、経済能力に応じた税負担を徹底することで2兆円の財源確保ができます。また、この日本の非常事態に3千億円ものアメリカへ思いやり予算をきっぱりやめ、2011年度配分の300億円もの政党助成金も撤廃すれば消費税の増税は必要ありません。
今、求められるのは、庶民の家計を温め、結婚して子どもを産み育て、歳をとっても安心して暮らせる当たり前の生活ができる社会づくりではないでしょうか?よって、社会保障の削減と消費税増税の一体改革成案に反対し、市民の生活を守りたいと願うこの請願に賛成の討論とします。
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