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【10.04.09】岩手県西和賀町(旧沢内村)の医療費助成

遠野市の地域医療とあわせて現地調査、研修に行ってきました

 岩手県の中西部、奥羽山脈にある沢内村と湯田町がH17年に合併し、西和賀町となった。沢内村は県内でも有数の豪雪地域で、積雪は2メートルにもなるます。冬になると雪のため閉ざされた地域の村民の健康を守ため保険医療が充実しました。S36年に全国で初めての「60歳以上の医療費無料化」を行い、S37年には「乳児死亡率0」を記録し、全国的に「保険の村」として注目を集めるようになりました。
 湯田町は、古くからの温泉場で、秋田県境に位置していることから、岩手県と秋田県を結ぶ物資や人の流通の要所であり、旅人の疲れを癒やしていました。金山や鉱山も点在し、温泉と鉱山という物資に恵まれ町は発展した。S35年には1万3千人の人口となったが、鉱山の閉山と、湯田ダム建設により、600世帯が水没し移住が余儀なくされ、人口の減少が進んだ。鉱山が閉山した後、全国初の温泉付駅舎「ほっとゆだ」、東北初の砂風呂「砂ゆっこ」など温泉を核としたまちづくりをしています。
 過疎化と少子高齢化が進み、社会現象が変化する中で、行政基盤を強化し特色あるまちづくりをめざしています。

老人医療費給付制度について
{目的}
高齢者の生活に必要な医療費の給付を行い、健康の保持と、経済的負担の軽減。
{制度の概要}
西和賀町内に住所がある、65歳以上が対象
西和賀町の介護保険に加入し、他の市町村の特別養護老人ホームや養護老人ホームに入所している65歳以上の人
他の何等かの医療費支給を受けている場合は対象外となる
町立沢内病院では現物支給で、他の医療機関では償還払い
給付される額は、原則として外来・1医療機関1診療科につき1500円を引いた額
入院・1医療機関1診療科につき5000円を引いた額


 雪に閉ざされた村で、深沢村長は「人間の尊厳・生命尊重こそが政治の基本である」との信念のもと、全国に先駆けて乳児と老人の医療費無料化を実現し、わが国初めての乳児死亡率0を達成しました。1962年S37年に策定された「沢内村地域包括医療計画」は現在にまで評価されているその計画の目標は
1、すこやかに生まれる
2、すこやかに育つ
3、すこやかに老いる
これらの目標を実現するため誰でも「どんな貧乏人でも」
どこにいても「どんな壁地でも」
いつでも「24時間365日生涯にわたり」
学術の進歩に即応する最新・最高の包括医療サービスと文化的な健康生活の保障を享受する必要があります。
 この理念をもとに、医療費給付だけでなく、村民一人ひとりの健康手帳や保健婦さんの訪問による健康診断、村ごとの保険委員の設置など、日常的に健康に暮らすための取り組みがされています。健康で住み良い町、人間として住み続けられる町として、住民のための町づくりがされてきたが、人口減少と財政の問題はここにもあり、自治体だけでは限界が生じてきています。国において、地方自治体に目をむける政策が必要ではないでしょうか。
 この視察で名張市でも、小児医療や生涯いきいきと過ごすための、包括医療を具体的に考える参考となりました。

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