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【10.01.20】名張市の保育は大切な財産です

保育士さんの保育引継ぎ研修会に参加しました

 19日の5時から、勤労者福祉会館で保育士さんを対象に、名張市の保育引継ぎ委員会により、研修会が開催され、「名張市立保育所の保育の歩み」から、日常の保育の実践についてわかりやすい資料をもとに、説明がありました。
 
 

名張市立保育所の歩みの資料より

 公立保育所は、昭和8年ごろより各地域において、6月・11月の農繁期に小学校などを利用し開催されたのが始まりのようです。戦時中は中止され、戦後昭和25年ごろから託児所が再開されました。昭和29年に市制が引かれ、名張市立保育所として運営が始まりました。
 昭和29年の市制施行時は、公立保育所は4ヶ所、私立保育所は6ヵ所でしたが、48年には保育所一本化施策に伴い、13保育所と2へき地保育所の15保育所すべてが、名張市の運営となりました。
 その後様々な状況の中、平成16年にへき地保育所の1保育所を、学校法人に公設民営方式で保育業務を民間委託することになり、17年には「保育所民営化基本計画」が策定され、19年には箕曲保育所が民間に移管されました。22年から3年間で、すべての公立保育所を民間に移管する方針が出され、今年は4保育所の移管がすすめられます。

こどもたちの生活を大切にする保育を実践するために

 名張の保育所が一本化される前は、公立保育所は園長・保育士が連携し、また、各保育所とも交流をもち、保育内容について話し合っていました。私立保育所では、年2回の親睦会を開催し、和やかな中で保育について語り合う機会としていました。
 昭和48年に、保育所が一本化されてから、厚生協会と公立の職員が、各保育所の配属となり、様々な思いの交差があったようです。ある程度統一された形態をとりたいという想いは保育士の中にありました。50年には、所長が保育士を経験した人に専任化され、行政からの連絡体制の統一や、所長会が発足されました。あわせて、保育士も研修体制の充実に向け保母会を結成し、行政のバックアップも受けながら、月に一回全員が同じテーマで、事例検討をするなどの研修を積み重ねてきました。県の保育士協会の研究発表があたる年には、3年計画で専門の大學教授の指導を受け、取り組んできました。「表現」「自然」「年間カリキュラム」「環境」などのテーマで実践を中心に研究してきました。保母会が時代の流れの中で解散してからも、年齢別研修、障がい児保育研修、同和保育研修、主任会議などで、様々な研修会を維持し続けてきました。
 昭和46年に、公立幼稚園が1園でき、その後公立1園と私立4園が設立されました。市の職員は、幼稚園教諭免許及び保育士資格の両方取得者の採用とし、50年以降は、積極的な人事交流が行われて、幼保連絡協議会が立ち上がりました。県で乳幼児研修センターを立ち上げられ、保育所と幼稚園の職員が共に研修する体制が整いました。このセンターが廃止された後も、各市町で継承され、名張市でも継続して研修する体制をつくってきました。
 人権保育の取り組みもされ、三重県人権教育研究協議会に保育士一人ひとりが個人会員となっています。
 

課題や問題を乗り越え

 障がい児保育の実施・臨時職員の増加・待機児童解消に向けての対応・保護者への対応・正規職員採用の減少などの直面した保育課題についても、どのような状況にあっても保育士さんは、研修を重ねて自らを高め、こどもたちの安心した育ちを守るため、昭和48年から38年間にわたり、名張の保育を培ってきました。
 その中では公立と民間の違いの一本化や、雇用形態の違いによるやりにくさの打開がされてきました。どの子も健やかに育つため一人ひとりを大切にし、ひとつひとつ重ねてきたものに、今の国や市の施策は逆行しているように思います。本来なら行政は、安心できる保育を、確実に実践できる体制を築べきではないでしょうか?
               

保護者のみなさんにも聞いて欲しい

 保育の実践は、保育所が家庭と同じように、安心できそして気持がやすらぐ場所であること。そのためには、こどもと1対1で優しい声で接すること。日常の生活はこどもが混乱しないように、手順を統一し毎日を積み重ねていくことが話されました。
 具体的には、赤ちゃんにはカセットの歌ではなく、保育士さんの声で歌って聞かせる。カセットは上手に歌うが、こどもに対して一方的で、あかちゃんにあわせられない。興味がない時はききながすことになる。赤ちゃんは好きな人の優しい声を聞きたい。また、赤ちゃんの時から、自己肯定感を養い、大人になっても困らない人をつくる。幼児期には、着衣や食事などこどもの自主性を尊重し、見守りながら手助けをする。わらべうたでの手遊びやじゃんけんは、感情を表に出すことや、こどもが勝つまですることで、負けて嫌になって途中で投げ出したい弱い気持ちを克服させる。など、人と人のあいだで、生る喜びを感じる保育の実践でした。
 また、危機管理マニュアルも作られており、きめ細やかな保育内容と、保護者・子どもとの信頼関係を築くことなども説明がありました。
 このような、研修は保育士さんだけでなく、保護者のみなさんにも聞いて欲しいと思いました。

名張市の公立保育所は残さなければ!!

 今回の研修に参加して、保育とは人を育てる崇高な仕事なのだと実感しました。そして、名張市公立保育所の保育士さんは「全国保育士会倫理綱領」と「名張市の保育理念」にもとづき、一人ひとりを大切にし子どもの心身ともに健やかに育てることに力を尽くし、その保育が継承され続けていることを知りました。このような公立保育所の歴史と実践を、財政難を理由に断ち切っていいのでしょうか?
 研修の中でも保育士さんの「どんな状況になっても、子どもの健やかな育ちを守る」
この思いがひしひしと伝わってきました。この思いは、名張市の未来をつくっていく人材を育て、やがては発展へと結びつくものです。
 国では、保育の規制緩和をすすめ、民間活力の導入として市場原理が持ち込まれようとしています。研修の最後に「保育は身を粉にする仕事ですが、人の心にふれるもの」
とお話しがありました。保育・子どもの育ちを、その時の社会情勢によってふりまわしてはならない。まして、採算や儲けの対象にしてはなりません。

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