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【09.02.08】地域組織の見直しについて

これで都市内分権ができるのか?

 名張市は地域組織の見直しを3月議会に提案し、4月から実施しようとしています。しかし、その内容を市民がよく理解できていないのが現状です。
いったい何がどう変わるのか?
<区長制度の見直し>
1、地区代表者をひとり選出
   区と自治会が並存する中で、住民の意思を代表する組織をひとつにする
2、区長設置規則の廃止
   新たな地区組織に関する規定整備。
   市が委嘱していた区長設置を止め、地区代表者を届出。
3、行政事務委託料の見直し
   今まで区長さんに支払われていた委託料を廃止し、地区組織への活動資金にする
<地域づくり組織の設置>
1、地域づくり委員会と区・自治会を一本化
   現行のゆめづくり委員会やまちづくり委員会のような事業内容(レクリエーション的)    ではなく、課題解決型事業(地域整備等)の実施。
2、公民館単位の14地区に区分
   鴻之台・希央台は新たにつくり、15地区になる。
3、地域づくり組織の運営
   地域住民が主体的に運営。
   区の代表者がコミニュティ部会に参画することを必須。
   地域活動団体全てが参加できる。
4、地域づくり組織の活動
   地域課題解決型事業の実施が主たる活動。
5、活動基礎財源
   ゆめづくり交付金と基礎的コミニュティの活動助成としての交付金。
   H21年度からH23年度まで、市全体で1千万ずつ減額。
6、地域の将来像を策定
   じぶんたちの住むまちを将来どのようなまちにしていくのかを計画。
7、組織の法人化
   役員等の責任の所在が明確で、財産管理が可能な法人化を市が支援。
8、法的根拠となる条例
   H20年度制定(3月議会に提案)
9、施行期間
   条例の施行はH21年4月。地域づくり組織は7月1日から。(1年の経過措置有)   
<行政の支援策>
1、市の窓口として仮称・地域経営室
   円滑な運営と地域ビジョンの策定、法人化を支援
2、人材育成支援
   仮称・地域デビュー講座の開催。
   NPOや市民団体をと地域自治組織を結び付ける人材バンクを設立。
3、自主・自立への支援
   市からの交付金のほか、地域づくり組織が自ら財源を確保するための支援。


市民の理解はまだ不十分

 この地域組織見直し方針(素案)が出され、各地域で説明会が開かれました。その説明会のあり方は、地域に任されており、区長・自治会長のみの地域、住民全体に呼びかける地域と違いがありました。

<説明会での疑問や質問>
*現行のゆめづくり・まちづくり委員会の役員は、住民代表として選ばれていない。
区長も地域によっては、住民の総意で選ばれていない。このような役員の決め方で住民のかかえる地域課題が把握できるか?また解決できるのか?

*自治会は住民の自発的組織で、行政の一方的な組織再編により、地域組織に組み込まれるのはおかしい。住民の意思により決定するべきだ。

*公民館単位での地域区分だが、住宅地と農村地が混在しており、地区の財産管理はどうなるのか?自治会があるところないところがあり、自治会費の扱いはどうなるのか?

*今まで名張市は区長制度を主とし、自治会を認めていなかった。ここにきて、区長制度を廃止というが、区での区分けが基本で、地区代表者協力事務費が支払われる。  これで、区長制度の廃止になるのか?

*地域づくり組織を作って、そこへ予算と権限をわたす。区長(地区代表)中心で問題解決をせよということで、今までの区長制度と変わらず、区長の仕事と責任が増える。  
*地域では仕事が増えて、交付金が減る。これではやっていけない。

*それぞれ立場の違うものを、地域組織ひとつにすることを、行政が強制していいのか   

*コミュニティビジネスをした場合の会計管理と監査のあり方はどうなるのか?内部だけでは不透明さが出てくるのではないか?お金儲けが主になり、本来の地域自治活動を見失う危険性がある。

*法人化でビジネスすれば、1千万円を超えたら法人税がかかるのではないか?

*地域で問題があった時、誰が責任を負うのか?

*地域づくり予算制度は、自主的組織を支えるという定義。この部分の予算の根拠が新
 制度ではないので、いずれなくなるのか?

本音は地域交付金の削減では?

 名張市は14の地域づくり委員会を進化させ、都市内分権を進めようとしています。都市内分権とは、地域課題を地域住民が「自分たちのまちは自分たちでつくる」という意識を持って解決へとはたらき、行政はそれを支援するというものです。
 これは、否定するものではありませんが、住民自治意識が育ち、住民の総意が反映できる組織でなければなりません。現行の地域づくり委員会は、住民に総会を持って運営している地域もありますが、大半が一部の委員での運営となっています。これを、名張市自治基本条例に基づいて、課題解決・身近事務事業を担うとするなら、各地域住民の総意を反映できる組織としなければなりません。そのためには、代表や役員選出の選挙または、総会での承認が必要です。新組織移行には、各自治会・区での会則変更も必要になります。
 住民自治の根本のしくみづくりを、各地域に丸投げのため住民の理解がすすんでいません。市は市民が理解できるような、働きかけや周知を十分しないまま、性急に市の考えた制度を実施しようとしています。このままだと役員の加重負担や、住民の思いが反映されず、地域格差が生じ、名張市内住むところによって、受けられるサービスの違いが出ることが懸念されます。しかもサービスを受けられないのは、自らの地域責任となるのです。
 そしてなにより問題点は、財政問題から考えられていることです。都市内分権を名目に、地域への交付金削減を強行しようとしています。H21年度予算編成のために、住民が理解しないまま、住民の権利や義務の生じる地域組織の見直しを、決めてしまうことは許されません。地域組織の見直しは、行政が制度を強制するものでなく、住民が都市内分権への理解を深め、住民自らがつくりあげていくのが本来の姿ではないでしょうか?


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